松です。鹿児島に行っている間に１つ落書きが出来たので、ここに上げます。
「マリア様がみてる」の未来予測ＳＳです。
＃誰が誰の妹になっているかは、ぼかしてますが；

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「うーん」
　「白薔薇のつぼみ」こと二条乃梨子は空港のロビーで悩んでいた。というの
も、修学旅行前日に、白薔薇さまにしてお姉さまである藤堂志摩子にこんなお
願いをされたからだ。
『お土産にはローマ饅頭とフィレンツェ煎餅をお願いね』
　最初に聞いた時は、我が耳を疑った。当然だろう。修学旅行先であるイタリ
アに「煎餅」と「饅頭」が「お土産」として売っているわけがない。だが、そ
れが聞き間違いでも、自分の耳がおかしくなったわけでもないと分かると、今
度は志摩子が冗談を−非常に珍しい事ではあるが−言っているのだろう、と思
った。だが、その思いは粉みじんに粉砕された。彼女は淡々と続けたのだ。
「去年は祥子様に頼まれて祐巳さんが探して見つけられなかったの。一昨年は
　その祥子様が私のお姉さまに頼まれたそうなのよ。だから、出来れば見つけ
　たいの。お願いね、乃梨子」
「あ、あの・・・イタリアのどこで売っているっていうんです？煎餅と饅頭・・・」
「それが分からないから、探して、って頼むのよ」
　真面目に、あくまでも真面目に志摩子は言い切った。こうも大真面目にお姉
さまに頼まれて拒否できるような乃梨子ではない。「努力してみます」と言う
のが精一杯であった。
　もっとも、言ったからといって大前提の問題、つまり「ローマ饅頭とフィレ
ンツェ煎餅なるものが存在するのか？」という疑問が解決してくれるわけでは
ない。結局、彼女は疑問を抱えたまま、集合場所へと来るとこになってしまっ
たのだった。
「ごきげんよう。乃梨子さん。難しい顔をされてるわね」
「ごきげんよう。どうなさったの？」
　そこへ、松平瞳子と細川可南子が声をかけてきた。去年の文化祭をきっかけ
に、山百合会の正式メンバーになった２人だ。
「ああ、うん・・・その、お土産の事をちょっとね・・・」
　乃梨子は曖昧に言葉を濁した。だが、２人にはそれで十分だったらしい。急
に顔を引き締めると、口々に言った。
「もしかして・・・ローマ饅頭とフィレンツェ煎餅？」
「乃梨子さんも、なのね・・・」
　それに驚いたのは乃梨子だ。
「え？・・・もしかして、お２人とも？」
　彼女の問いかけに、無言で頷いてみせた。瞳子がこめかみの辺りを押えつつ、
呻いた。
「てっきり、お姉さま方のいつものご冗談だとばかり思っていたのに・・・」
　紅薔薇さまこと福沢祐巳と黄薔薇さまこと島津由乃。この２人は自分の「妹」
をからかうことに生きがいを感じているのではいかと疑いたくなるほどに、よ
く妹に冗談を言う。あまり大声では言えないが、昨年度の卒業に山百合会だけ
で行なったお別れ会の時も「隠し芸をやるのが恒例」と、大ボラを吹いた２人
だ。だが・・・
「白薔薇さままでも、となると、真剣に考えた方がいいですわね」
　可南子の言葉に２人は真面目な表情で頷いた。それが３人の薔薇さま達の目
論見とも思わずに・・・

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きっと、この手の冗談は延々と引き継がれるんだ、と思う方は結構いるようで
す。同人誌とかで、よく見かけますので、このネタ。

それでは。