松です。バレンタインネタで思いついたオリジナルをつれづれと・・・

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「ん。あ、忘れてた」
　彼女は呟くと、何かの包みを取り出し座る男に向かって放った。
「はい、プレゼント」
「ありがとうよ」
　その男は、背後から投げられたにも関わらず、振り返りもしないでその包み
をキャッチしてのけた。
「ん・・・チョコレート？」
「バレンタインでしょ」
「ああ、なるほど」
　彼女の一言に男は頷くと、デスクに置いた。
「半分はとっておいた方がいいな？」
「ええ、お願い」
　これで話は終わり、とばかりに２人はそれぞれの仕事に戻った。だが、周囲
は終わりに出来なかった。右代表、という感じで思わず１人が叫んだ。
「ちょっと、何なのよ。今のは！？」
「何って・・・私がバレンタインのチョコを渡して・・・」
「俺がそれを受け取っただけ、だろ」
　唐突に叫ばれた２人は、困惑の色もあらわにそう応える。
「だけってね、普通こういう事はもう少し盛り上がるというか、甘い空気まき
　散らして、周囲の人間に砂なり砂糖なりを吐かせるもんでしょうが！それが
　何？『はい、プレゼント』『ありがとうよ』だけ、しかも投げてよこすだけ
　ってのはどういう了見よ！！」
　一息で言い切って、ぜーぜーと肩で息をする。ちょっと鬼気迫るその様子に、
２人は困惑の色をさらに深くして顔を見合わせると、ややあって一応は抗弁を
開始した。
「いや、どういう了見とか言われてもなぁ。んな甘い空気の作り方なんざ、俺
　が心得ているわけないだろう」
「私も、そんな空気の作り方なんて知らないわよ」
「・・・・・・」
　あまりにあっさり言い切られ、周囲一同は何も言えなくなったのだった。
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特にキャラを特定して考えたわけではないです。
さりげなく惚気るカップルと、それに振り回される周囲というイメージで書きました。

それでは。