神姫のいる光景　レギュレーション改訂

　新しい神姫の参戦に伴いバトルロンドのレギュレーション改訂された。
　改訂の内容は装備しているパーツの属性が３種類以上になった場合における
ペナルティと、一部パーツの属性変更。
　この変更に多くの神姫マスターは慌てふためく羽目なった。
　というのも、属性の変更されたパーツは、全て元「無属性」。つまり他の属
性に影響を与えないパーツであったからだ。
　そんな理由から、属性の統一性を保ったまま（そして、属性統一による特典
を持ったまま）性能の向上を計っていた多くのマスター達は、この無属性のパー
ツを多用していた。
　この結果、多くの神姫が属性統一の特典を失った。そればかりか、もう１つ
の改訂項目、「装備パーツの属性が３種類以上になる神姫に対するペナルティ」
すら発生していた。なにしろ、無属性からの属性変更先は３種類以上に及んで
いたので・・・
　そしてここに、このレギュレーション改訂に頭を悩ませている神姫マスター
が１人いた。

「むう・・・」
「マスター、唸っていないで早く私達の新装備を調えて下さい」
「いや、調えなきゃならんのは分かっているんだけどね・・・」
　呆れながら苦言を呈して来る天使型アーンヴァルタイプのヴァルに、マスター
は苦笑を返す事しか出来なかった。
「まぁ、パーツの数が多いもんね。時間がかかるのも無理ないよ」
「スー、あなたが暢気に言うんじゃありません。パーツのかなりの部分は、あ
　なたがマスターにおねだりしたものでしょう」
　ゴリッ
　暢気な態度の悪魔型ストラーフタイプの頭に、ランチャーでありながら「レー
ザーライフル」と名付けられたＬＣ３レーザーライフルの砲口を押し付けた。
その硬く冷たい感触に、冷や汗を流しながらもスーは言い訳を試みる。
「いや、でもね、おかげでいろんなパーツを試せるんだよ。戦術の幅も広くな
　るんだから、いいことづくめじゃない。ヴァルだって、ランチャー一本槍か
　ら抜け出せたわけだし」
「言いたい事はそれだけ？」
　グリグリ・・・
「えーっと・・・ごめんなさい、謝ります。これからは少し控えるから、この
　ランチャーどけて下さい」
　ヴァルの冷たい態度に危険なものを感じたスーは、急いで方針を切り替えた。
つまり、おとなしく謝ったのだ。まぁ、ランチャーを頭に突き付けられ、しか
もさらに押し付けられていては無理もないだろう。
　そんな２人を（生）暖かく見守りながら、彼は砲台型フォートブラッグタイ
プのラックに声をかけた。
「とりあえず、調整の楽なお前から始めようか？」
「はい、お願いします！」
　２人の先輩神姫よりも先に調整してもらえる喜びを込めて、ラックは敬礼し
たのだった。

　ラックの調整は確かに楽であった。属性が変更されてしまった旧無属性パー
ツを、ミリタリー属性のものに置き換えるだけであったからだ。
　が、先をこされた事に気づいたヴァルとスーに「ずるいずるい」と責められ
た彼は、仕方なく２人の調整も始め・・・
「で、それから他の娘達にまで調整をせがまれて、徹夜したわけ？」
「ああ、しかも、新装備を試したいって、ここに来てテストだし・・・」
「お疲れ様」
　地元の神姫センターで、彼は隣人である彼女とそんな会話を交わす羽目にな
ったのだった・・・

　レギュレーション改訂、それは多数の神姫を持つ者にとっては何かと大事な
のであった。